今年のHanse Group Dealer Meetingは例年より、
一か月遅れの8/27-8/29となった。
三日早めに出発して、ハンブルグに二泊、
リューベックに一泊してから、本社工場のある
グライフスバルトに入ることにした。
トルコ航空の機内で、山口県の大島在住の牧師、
辻さんと親しくなった。
ドイツに嫁いだ娘さん夫婦とお孫さんに会いに行くとの。
ハンブルグで合流後、デンマーク国境の島で夏休み。
偶然、帰りもイスタンブールから一緒になるので、
お話を聞いて見よう。
夜はハンブルグ国立歌劇場で、ミュージカル
「ウエストサイドストーリー」を観た。
夏はオペラはお休みなので仕方がない。
この歌劇場も来たかったひとつである。
オペラに慣れると、マイクを通した歌には抵抗が出てくる。
確かに上手いのだが。。。。
ヨーロッパ人の演じる「ウエストサイドストーリー」は紳士
すぎるような感じもした。
ハンブルグ国立歌劇場。
場内ではヨーロッパ人の上品さが随所でうかがえる。
MET第9作、ヴェルディの<エルナーニ>を観に出掛けた。
この演目は初めてである。
最近はそれがウエルカムになって来た。
私のレパートリーが増えるし、新しい発見も多い。
モーツァルトのオペラはハッピーエンドで終わる。
しかし、ヴェルディの作品は殆どが悲劇で終わる。
案の定、この<エルナーニ>も同じであった。
3人の男が1人の女性を奪い合い、最後は愛する本命の
男とともに自決する。
残酷な復習を企てられ、最後は「死」 に追いやられた。
オペラ 「オテロ」 のヤーゴを思い出す。
男の嫉妬も怖いものだ。
今回の新しい発見は、エルヴィーラ役のアンジェラ・ミード。
4年前に代役で、METにデビュー。
医学生からオペラ歌手に転向の若干33才。
いかにもアメリカらしい。
体の大きなアンジェラ・ミードは大ホールのMET向き。
豊かな声量、成長真っただ中の若きオペラ歌手。
オペラの歴史は400年経過している。
新作のオペラが登場してこない限り、再演しかない。
現代風な演出で、旬な歌手を使うとか。。。。
正直新鮮味は、新作には叶わないだろう。
今回METの試みとして(以前もあったようだが)、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」のストーリーに、バロック音楽を
良いとこ取りし、編曲して新作を創り上げてしまった。
もちろん世界初演である。
この手法を 「パスティーシュ」 と言うらしい。
とてつもなく新鮮だった。
なにしろ、予備知識無しなんだから。
涙が出てしまった。
特にバロック音楽が良かった。
直に、訴えて来るそのすごさ。
自由があまりにも進んでしまうと、芸術も人間社会も、
宇宙をさ迷うゴミのように、無秩序なものになり、
かえって創造性を失う。
ある様式、形式、約束事の中で生まれた芸術、人間社会、
人生の方が迷いがなく、完成度が高いのでは ?
そしてアウトプットも多くなる。
300年前のバロック音楽という様式が、この時代に人気が
出て来た理由は、そんなことかも知れない。
誰もが求めていた自由。
しかし実際に手中に入ると、なかなか厄介で、生きづらい
ものでもある。
コンピューター技術をふんだんに使った舞台。
今後のオペラ界はMETが世界を牽引して行くのでは ?
米グラミー賞受賞、メゾソプラノのJ・ディドナート。
登場するアメリカのオペラ歌手はとても明るく
振る舞いはまるでポップス歌手のよう
1/28、バーデン・バーデンからニュルンベルクに移動した。
今回の旅、最後の訪問地である。
バーデン・バーデンを出発し、30分も経たないうちに、
回りは雪化粧になって行った。
アルプス山脈の影響かな ?
夕方4 時過ぎ、ニュルンベルク中央駅を降りると目前に
城壁が目に着いた。中世の情景である。
しばらく眺めていたいが、まずホテルを探さなくてはならない。近くにあるはずなのに、なかなか見つからない。
案の定、城壁の内側にあり確認できなかった。
第二次世界大戦で町の90%は破壊されたらしい。
よくぞ昔のように復元したものだ。
さしずめ日本ならリセットして新しい建築物が並ぶのだろう。
単なる回顧主義ではなく、歴史・民族・国家のあるべき姿を
全国民が共有しているのかも知れない。
ドイツ統一、脱原発政策に代表されるように。
さて、夜はオペラ鑑賞だ。
演目はヴェルディの<椿姫>、現代的な演出でストーリーの
細部は分からなかった。
一か月前には、既に主な席はSOLD OUTだった。
3階の12ユーロの席がやっと取れた次第。
手に入れたオペラグラスが、とうとう活躍できた。 (笑)
主役のヴィオレッタ役は、Bassenz (多分イスラエル人)。
もう少し声量が欲しかったかな ?
会場の熱気から、50万の市民全体がこのオペラハウスを
支えているような気がした。
29日の午前中はドイツ・ルネッサンス大画家である
デューラーの家と、ゲルマン国立博物館を見学してから
ニュルンベルク空港へ地下鉄で移動した。
デューラーは私の最も好きな画家の一人である。
際立った写実の中に、上質な精神性を感じる。
特に自画像、28才の彼自身の表情は神々しい。
デューラー代表作のかなりは、ハプスブルグ家の
コレクションとなって、ウィーン、ミュンヘンの
美術館が現在は所蔵している。
今から500年前のデューラーの家、250年前のモーツァルト
の生家、台所も居間も同じような作りで、250年の時の流れはあまり感じられない。
人類がここ100年でいかに様変わりしたか改めて驚く。
数千年も同じような、衣食住の営みをして来たと言うのに。
歴史を逆戻りさせることはできないが、現状のままの
物質世界では永続可能な未来に疑問を持たざるを得ない。
さて、人類はどこに向かっているのだろう ?
楽しくも、また考える旅でもあった。
しばらくは仕事に専念することにしょう。
ホテルから見るオペラハウス
正式名称はニュルンベルク州立劇場
写真下部の雪の積った屋根が、市内を取り囲む城壁
上から見るカーテンコール。
中央やや左、黒のドレスが主役のヴィオレッタ
1420年に建てられ、1509-1528 の間生活したデューラーの家
ドイツ人らしく精巧で、数学的で、堅実な人生だったようだ
200年後のヨハン・セバスチャン・バッハにも通じるのかな ?
バーデン・バーデンは温泉で有名である。
ウィーンのバーデンは数年前に行ったことはある。
ここはいつか、来てみたかった。
温泉ではなく、1998年にOPENした祝祭劇場に。
駅からバスで10分、幸いホテルは祝祭劇場から目鼻の
処にあった。
ユーロ圏で二番目に大きいオペラハウスでもあるらしい。
丁度ザルツブルグの祝祭劇場のような感じかな ?
オペラもコンサートも両方できる劇場である。
世界ではよほど有名にならないと、リサイタルはしない。
この祝祭劇場はそのリサイタル会場としても有名である。
ちなみに、1/3 にはソブラノ歌手のアンナ・ネトレプコ。
2/23 はピアノのラン・ラン、2/24 はチェロのマイスキー。
世界トップスター目白押しのスケジュールである。
オペラ歌手のオッカケになって、次回は来たいものだ。 (笑)
今晩8 時からの公演は
「Queen Esther Marrow & The Harlem Gospel Singers」
20周年記念の世界ツアーコンサートである。
私の知らない世界である。
ゴスペルファンにとって、多分たまらないコンサートでしょう。
Queen Esther Marrow は世界のトップゴスペルシンガー。
とにかく歌い込んでいる、という迫力。
メンバー達もすばらしいパフォーマンスだ。
満員の会場は総立ち。
楽しかった !!
すこしかじってみようか、この世界。 (笑)
舞台には黒人アーティスト、客席は総白人ファン。
黒人の生んだ音楽に、世界が魅了される。
温泉らしき煙が見える。やはり温泉は日本ですね。
カジノ、高級プティック、そしてオペラハウス。
おなじ温泉地でもこんなに違うものなのか。
まだ温かそうな公演終了直後の舞台
ボートショウ見学後の日本へのトンボ帰り。
60才を過ぎているのだから、もうそんな味気ない事は
止めようと常々思っていた。
遊んで帰る予約は2ヶ月前が必要、仕事の成績では
ど壺になるかも知れないが思い切って決行した。
今月の売上からして、この遊びが仕事の致命傷には
ならないだろう。(笑)
やはりモーツァルトが立ち寄った所に行ってみたい。
4 回訪問したマンハイムにまず行く事にした。
オペラハウスは同じ場所に再建しているが、
もちろんモーツァルトは、そこに立ち寄っている。
どの国のオペラハウスも目抜き通りに有るから、
駅から徒歩で十分。
今夜のオペラはチャイコフスキーの<オネーギン>。
特にターニャの芯の強い歌唱、声色に魅了された。
歌手はラトヴィア生まれのイラ・バートマン。
席はかなり前で、おまけに真中。
せっかく買ったオペラグラス(実は中国製双眼鏡)は
出番無し。(笑)
来場記念に今大好きな、メゾソプラノのエリーナ・ガランチャ
のCDを買った。
偶然にもガランチャもラトヴィア生まれ。
どうしてスラブ人は歌が上手いんだろう ?
翌日は18世紀に築かれた選帝侯宮殿を見学。
マンハイムが一番栄えた時期の建物である。
ほとんどが復元の為、臨場感は薄かった。
19世紀末に建てられた町のシンボル、給水塔
向かって左から二番目がターニヤ役のイラ・バートマン
旅先で才能ある見知らぬ歌手に出会うのはとても楽しみだ
1/22の昼過ぎ、トルコ航空でデュッセルドルフに到着した。
午後3:00から恒例のオペラ鑑賞となった。
昨年と同様、ローシーニの作品であった。
今回は彼の一番有名な<セヴィリアの理髪師>。
演出は現代的なもので、私にはやはり抵抗はあった。
興味は<フィガロの結婚>で伯爵夫人になるロジーナの
ベルカント歌唱の質である。
若いレナ・ベルキナというメゾソプラノが歌った。
声量も豊かではなく、テクニックもまだ成長期である。
ただとても可愛くて、これからが楽しみなオペラ歌手である
事は間違いない。
今回の席は2階、オーケストラボックスの後が一番好き。
ボートショウではオペラグラスを買おう !!
METライブビュー第6作は、フランスの作曲家グノーの<ファウスト>、文豪ゲーテの作品をオペラ化したものだ。
このDVDを持っておらず、ぶっつけ本番の初視聴であった。
どうも私は、ストーリーの奥深さを理解していないようだ。
さっそく原作<ファウスト>をアマゾンに注文した。
じっくり読んでから、再度聴いてみよう。
上演の休憩時間に歌手、演出家、指揮者にインタビューする場面がある。
表現者自らが、芸術をより具体的に、臨場感を持って
説明してくれる。
とても貴重な場面で、いつも興味深く聞き入っている。
アーティストが如何にして、その役割を表現するのか。
これは私のビジネスにも通じる。
ヨットを通じて私の何かを表現したいものだ。 (笑)
ファウストの恋人マルグリットを演じるロシアのポプラフスカヤ
角ばった面立ちはメゾソプラノのカサロヴァに似てるようだ
今年最初のMETライブビューはヘンデルの <ロデリンダ>。
朝起きて突如、映画に行きたくなった。
今年の仕事の滑り出しが不安であったが昨日、中古ヨット
一艇の売却が決まりホッとした。
仕事半分/遊び半分が私のモットウであるが、仕事が順調であれば自然とそのスタイルになるはず。
オペラの華は現代ではソプラノであるが、ヘンデルの
バロック(1750年)以前は、カストラート(少年期に去勢された
男性ソプラノ)であった。
それをカウンターテナー(裏声)、又は女性のメゾプラノで
歌うのは無理がある。
・裏声では高音部の伸び、迫力が出ない。
・女性が男性役を演じても違和感がある。
今回もC.テナーはソプラノとの二重唱で聴き劣りがした。
バロック当時の古楽器(リコーダー、チェンバロ等)を組込み、ノンビブラート奏法の弦楽器でオーケストラは再現できても、声の問題はどうしようもない。
カストラートの声の録音はもちろんないが、
記録ではすごい迫力であったらしい。
カストラートのようなカウンターテナーの出現を祈りたい。
現代オペラ界の挑戦は続く。 (笑)
タイトルロールを演じるルネ・フレミング。
ロデリンダの歌う哀歌は、モーツァルトの<ルーチョ・シッラ>で
ジューニアが歌う第3幕のアリアと、曲想がオーバーラップした。
数年前からオペラに親しんできた。
STARTはプッチーニの「蝶々夫人」であった。
それからいろんなオペラを鑑賞していくうちに、
違和感を三度抱いた。
最初はドイツ語で歌うオペラ「魔笛」。
耳慣れたイタリア語の響きに対し、戸惑いを
感じたドイツ語。
もちろん意味は全く理解できないのだが。 (笑)
次はワーグナーのオペラ「パルジファル」。
4時間を超す上演。終りそうで終らない平坦な音楽。
メロディックなアリアが何も出てこない。
そして今回のグラスのオペラ「サティアグラハ」。
通奏低音をバックに全音符の歌唱の繰り返し。
どう聴いて良いのか、全く分からない。
一回目、二回目のハードルはすでにクリア。
多分今回の「サティアグラハ」、何回か聴いていたら
少しずつ何かを感じるのでは ?
過去の事例のように。
まだDVDが発売されていないのが残念。
METは最大級のスタンディングオベーション。
若い層の現代オペラファンが多かったようだ。
そう、違和感こそ新しい発見の源になるかも知れない。
サティアグラハ = 非暴力・不服従。
マハトマ・ガンジーの半生を描いているが、
同時に現代の社会を警鐘しているようにも感じられた。
中央の白い洋服姿がガンジー役のリチャード・クロフト (テノール)