METライブビュー、ビゼーの「カルメン」を観に出かけた。
オペラの中でも、傑作中の傑作である。
カルメンが最初の恋人、軍隊の伍長ドン・ホセと、一夜を
楽しもうとしたとき、帰営のラッパが聞こえてきた。
帰ろうとするドン・ホセに、カルメンは激怒し、痛烈に
軽蔑する。
自由奔放に生きているカルメンにとって、組織と時間に
がんじがらめになっている、ドン・ホセに我慢が
ならなかったのだろう。
振り返って、現代の世の中、自由に生きる事は
なかなか難しい。
それとも、あえて自由を捨てて安定を、
求めたいのだろうか ?
やはり私は自由に生きたい。
そして、その源を得る為に、働きたい。
グルジアのメゾソプラノ、アニータは「カルメン」にぴったり
オペラへの興味は、ある音大卒業の女性から「モーツァルトは別格ですよ。」から始まった。
それ以来、NHK文化教室オペラ受講、日本モーツァルト協会入会、DVD、メトロポリタン・ライブブュー、そして年2回のヨーロッパでの観劇。
名作といわれる50曲は、ほとんど鑑賞した。
しばらくモーツァルトの傑作オペラは観ていなかったが、2014-2015METライブビューの、第2作目「フィガロの結婚」を映画館で鑑賞した。
すばらしい序曲、メロディックなアリアのオンパレード。
モーツァルト曰く 「どんな情景でも音楽で表現できる」と。
オペラ全体がまさに、「絶妙さ」で、出来上っている。
あらためて、モーツァルトは別格であることを確信した。
モーツァルトに始まり、モーツァルトに回帰するのかも。
ヨットもセーリングに始まり、またセーリングに戻るのかも。
今回のフィガロは、コメディ性も興味深かった。
やはりアメリカらしい。
とうとう、夢にまでみた野外オペラの観劇の日となった。
オペラハウスにくらべ、舞台はずっと広い訳であるから、
総登場人物が多い方が迫力が出てくる事になる。
そんな訳で、旅行日程とも絡め、ヴェルデイの「アイーダ」を選んだ。
座席は一番高い189ユーロのSEATを、インターネットで6月には購入した。
オーケストラピットから3番目の、中央から少し左寄り。
開場は開演の一時間前の午後8時。
舞台よりも、観客席が気になる。
1万8000人は収容できるという。
円形闘技場を下から見ると、異様な興奮さえおぼえる。
静かにオーケストラの前奏から、オペラは始まった。
以外に歌手の声が伝わってくる。
少しマイクを使っているのかな ?
残念なのは、若き将軍ラダメス役の太り過ぎ、
奴隷アイーダ役の年増過ぎ。
ベストなキャスティングはなかなか難しい。
シリアスなストーリーとは別に、実際の舞台は子供・
ダンサーも加わり、グランドショーのような展開であった。
これがやはり野外オペラの魅力なんだろう。
この観劇は良い思い出になる事だろう。
残念ながら、寝台列車でドイツ・グライフスバルトへ
移動しなければならないので、途中退席した。
上部座席にはロウソクがくばわれ、
照明が消えると幻想的になる。
風で衣装がたなびくのも、野外オペラならでは。
8/23,早めにチェックアウトし、運河でサンタ・ルチア駅
に向った。
大きなクルーズ客船が近くを通ったのにはビックリ。
運河から眺めていると、このヴェネツィア共和国は、
どのようにして創られたのかを知りたくなった。
これだけの建物が水辺にひしめき合うのには、
確かに1000年は必要であったのだろう。
駅の 「みどりの窓口」 での発券作業の遅さには、
不快を感じた。
うわさに聞く、働かないイタリアの公務員を見た感じ。
ヴェローナ駅に着いた頃は雨模様。
ホテルの場所が分からない。
近くのホテルに聞いても 「B.B.カルメン」なんて
知らないねと。
ホテルらしくない名前で、一瞬悪い予感がしたが、
大きなビルの3階の一角に手書きの「B.B.カルメン」を
見つける事がてきた。
飲み屋のママのような支配人が、「先に金をくれ」 と
言うし、もちろんチェックアウト時に払うと断ったが。
何事もなければ良いが。。。
気を取り直して、明日の野外オペラ会場のアレーナ
(円形闘技場)に下見に出かけた。
タクシー乗場も確認できた。
紀元前の建物を状態が良いからといって、よく保存し
続けているものだなと思った。
日本なら、安全上の問題云々でとっくに
取り壊しているのに。
この違いはどこから来るんだろう ?
ゴンドラとクルーズ客船、絵になります
アレーナの前でビールを飲みながら
明日の「アイーダ」に期待が膨らむ
アカデミア、ペギー・グッケン両美術館にて、絵画を鑑賞した後、夏休み中のオペラハウス「フェニーチェ劇場」を見学に行った。
12ユーロで入場可能なので、ホールに入ると9月からのオペラシーズンの為の、ゲネプロ(オーケストラと歌手との最終稽古)を見ることができた。
演目はヴェルディの「椿姫」。
なんという幸運な事だろうか !!
若い指揮者がしきりに、歌手とオーケストラとの調整に、大声を出していた。
やはり、ピットに入っていても、最終的には指揮者が牛耳っているのだろう。
ほんとうに貴重なシーンを見学できた。
サン・マルコ広場で、バンド演奏をしていたので、
一番近くの座席で、ビールを飲んだ。
ピアニストの女性が、私を日本人だと確認し、「瀬戸の花嫁」を演奏してくれた。
うれしかった。
1771年2月13日、モーツァルト父子が謝肉祭のカーニバルに、この広場に来た事もあって、彼の「トルコ行進曲」をリクエストした。
譜面を取り出して、演奏してくれた。
ピアノではなく、クラリネットをフューチャーして。
この場で聞いていると、不思議な気持ちになった。
あのピアニストの女性になぜか、特別なものを感じてしまった。
旅とはこんなものだろう。。。 (笑)
青を基調にした、とても美しい場内。
旅に出て、音楽を求める気持ちが強い事、再確認した
ハンゼヨットディーラーミーティングの前に、今年はヴェネチィア、ヴェローナに立寄る事にした。
空港から通船で、本島の半分を沖から眺めながら、
想いを馳せ、中世の歴史をぼんやりと感じた。
降りた桟橋から、サン・マルコ広場近くに予約した
ホテルを見つけるのに一苦労。
詳細な地図はあるものの、迷路のような路地には
びっくり。
とうとう人に聞いて、やっとたどり着いた。
インターネットも通じ、安心して昼食を取ることができた。
ビールが美味しかった。
とにかく観光客が多い。
安芸の宮島どころではない。
明日からの観光、スリに会わないように !! (笑)
これが北ヨーロッパ人の憧れていた、イタリアの青い空。
夕方帰国の1/25、ピカソ美術館が6月まで大改装中なので、次回に譲り、パリ最大の墓地「ペール・ラシェーズ墓地」に出かけた。
音楽家ではショパン、ビゼー、ロッシーニ等々。
画家ではダヴィット、コロー、ドラクロア等々。
作家ではオスカー・ワイル、ボーマルシェ等々
雨模様であったが、9時過ぎには小降りになってきたので、とりあえずチェックアウトし、スーツケースだけはホテルに預かって貰らった。
マリア・カラスと、エディット・ピアフの墓を見たかった。
旅行案内ではカラスの墓はなく、骨壺安置所にあるとの。
そこは丁度、コインロッカーのような感じであった。
多分、花で埋まっているのだろうから、すぐわかるだろうと
思っていたが、見つからず無駄な時間が過ぎるだけ。
とうとう聞いてしまった。
案内してくれたロッカーを見て、目を疑った。
一輪の花すら無い。
「これがあの偉大な歌姫の最後の場所なのか?」
縁には、彼女を愛おしむファンのサインが書かれていた。
最後の恋人、ステファーノのサインもあった。
晩年の一人ぼっちの境遇から、こうなったんだろうか ?
そして、彼女はフランス人でもないし。
ピアフの墓は見つけるのに時間はかからなかった。
彼女はFamilyの墓に収まっていた。
墓はよく手入れされ、花も飾られていた。
次回パリに来る時は、ピアフ記念館に是非行って
みよう。
彼女のいろんな事を見たい、知りたい。
パリオペラ座、シャンゼリゼ劇場、ピカソ美術館と
合わせて。
ホテルはシャンゼリゼの方が良いかも。
ディナーショウにも気軽に行けるから。
カラス54歳、ピアフ48歳、悲劇の歌姫は早々と世を
去ってしまった。
恐らく芸術は苦しみ、悲しみの中から生まれるものだろう。
ライトの左ななめ下が、マリア・カラス
モーツァルトの骨は見つからないのだから、まだ救われる?
エディット・ピアフの墓
1/24、オランジュリー美術館とオルセー美術館に
出かけた。
30分早く開館するオランジュリーの方を先に見学。
モネの「睡蓮」で大広間は、いっぱいであった。
感動はなかった。人物画の方が好きだから。
その後、徒歩でオルセーに移動。
マネ、モネ、ルノアール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン等
印象派・ポスト印象派の名画がずらりとあった。
絵画本に載っている絵に、どうしても関心が
集中してしまう。
絵の先生が同行なら、もっとレパートリーが
増える事だろう。
絵を観て感動するというよりも、1900年前後のヨーロッパ
の風景、社会を、絵を通してより知ることができた。
これに音楽、文学がクロスオーバーすると、より臨場感を
感じてくるだろう。
いずれにしても、本物をこんなにたくさん鑑賞できた事に
満足感を得た。
オルセー美術館は1900年に建てられた駅を利用との。
かまぼこ状の天井が美しく。
リベット構造の骨組が質実剛健である。
デュッセルの帰り、今回はパリに立寄った。
ドイツ圏ではないので、盗難に神経を使う。
列車でドイツ北駅に到着し、外に出てみると
かなりの黒人、一瞬アフリカでは無いかと錯覚。
興味あるオペラ上演が無いので、美術館巡りと
決め込んだ。
23日は朝から一日中、ルーブル美術館へ。
広すぎて、居場所が全然わからない。
デュッセルボートショウ : 横浜ボートショウ =
ルーブル美術館 : 広島県立美術館
の数式が沸いてきた。 (笑)
宮殿とガラスピラミッド、オペラ座天井にシャガール壁画。
これがフランス人の芸術センスなのか?
一歩先に行っている。
無数の絵画の中で、歴史に残る名画はどこが違うのか。
その時代の絵画の中で、一歩先に行っているからでは?
モーツァルトの音楽がそうであったように。
絵画をカメラに収めるアジア人が多い。(No Flash OK)
本物をわざわざ観に来ているのに、じっくり鑑賞せず
なぜコピーを作ろうとしているのか、理解に苦しむ。
館内には小中学生のグループが多い。
先生は熱心に説明し、生徒達はメモをとる。
デュッセルB.Showでも同じ風景である。
広島県立美術館にて開催中の、「シャガール展」を鑑賞に出向いた。
シャガールはピカソとともに大好きな画家である。
あの色彩が良い。
モーツァルトがお好きで、ニューヨークメトロポリタンオペラハウスの壁画も描いている。
<音楽の勝利>の赤が何とも言えない。
パリオペラ座の天井の壁画もすばらしい。
周りと溶け合っている。
来年のデュッセルボートショウの帰りに行ってみよう。
90才以上まで現役でおられるのは、創造性のある仕事でフリーゆえなのだろうか ?
指揮者、作曲家、歌手、作家、画家、デザイナー、映画監督、俳優等。
たとえヨボヨボでも、車椅子でも全然恰好悪くない。
私もそのようになりたい。 (笑)