今回はシュトゥットガルトに2泊して、オペラ2本と古城見学
をしてから日本に帰ることにしている。
「オペラハウス オブ ザ イヤー」を何回も獲得している、
レベルの高い州立劇場のようだ。
デュッセルから4時間の列車の旅。
窓からの雪景色は私を飽きさせない。
昼過ぎにホテルに入り、州立絵画館に足を運んだ。
中世の絵画から見始めて行くと、突如ビカソの絵に
出くわした。
大好きな彼の絵に、しかも10枚超であるからビックリ。
やはりヨーロッパの美術館である。
フラッシュ無しの撮影ができたので、カメラに収めた。
「青の時代」の2枚の絵が特に良かった。
あの独特な青は、深い深い彼の悲しみを如実に
表現している。
天才は色を創る。
天才は音を創る。
今晩のオペラの演目はモーツァルトの<魔笛>。
彼の最後のオペラ作品。もちろん傑作。
席はオーケストラボックスのすぐ後、しかもど真ん中。
指揮者の頭がジャマになってしまう至近距離である。
値段は90ユーロ。日本では考えられない。
歌手の声のプレッシャーが直接伝わってくる。
夜の女王も良かったが、黒人歌手のパミーナがもっと
良かった。
黒人歌手の声帯は、別物なんだろうか。
ひろしま美術館にも酒場の二人の女性を描いたものがあった
「魔笛」を理解するには、まだまだ勉強不足である
MET Live View第5作目は、ヴェルディの<仮面舞踏会>。
今年は彼とワーグナーの生誕200年かな ?
おなじみの三角関係が、悲劇をもたらすストーリー。
ヴェルディのオペラは悲劇ものが多く、音楽も当然ながら
重々しく、重厚な感じである。
個人的には、50年後のプッチーニの方が好き。
音楽に色彩感がある。
歌手も素晴らしい歌い手であろうが、残念ながら映画と
いう媒体では、臨場感が直接伝わってこない。
やはりオペラはオペラハウスで楽しむのが一番。
来週からデュッセルドルフボートショウ、帰りは
シュッテットガルトに立ち寄り、合計4本のオペラ鑑賞が
楽しみになってきた。
今年最初のMETライブビューに出かけた。
モーツァルトの<皇帝ティートの慈悲>である。
弟子達にかなりの部分を任せ、わずか18日間で完成
させ、手抜きのオペラとも言われている。
しかし有名な三つのアリアは、モーツァルト自身が
作曲しているはず。
聴き入ってみると、いつもながら物悲しさを感じる。
シンプルで、透明な旋律。
暗い音色のクラリネット、バスクラリネットのオブリガート。
何故なんだろう ?
亡くなる数か月前の作品からして、恐らく死期を
感じていたんだろうか。
借金、健康、仕事、そして妻の浮気。
いろんな問題を抱えて。。。。
セスト役はママになったラトビアのエリーナ・ガランチャ
彼女の歌う<カルメン>には、釘づけになってしまう
MET Live Viewing の第3作目 <テンペスト> の
視聴に出かけた。
原作はシェークスピアの戯曲。
作曲はイギリスの現代作曲家、トーマス・アデス。
自身の指揮でもある。
予備知識無しで臨んだが、案の定馴染めない。
ワーグナー以上である。 (笑)
不協和音、頻繁に変化するリズム、飛び交う高低音。
これが現代オペラなのか ??
前半は盛んに睡魔が襲う。
前の席の女性は途中で退散したようである。
しかし、食わず嫌いはいけない。
新しい発見が必ずある。
素晴らしい歌手との出会い。
特にアリエル役のオードリー・ルナはすごい
ソプラノ歌手のようだ。
ルナの音域なら、<魔笛>の夜の女王は簡単でしょうね
MET の2作目はヴェルディの <オテロ>。
原作はシェークスピアの「オセロ」。
私にとってかなり難解なストーリーである。
いや、まだまだ勉強不足であろう。
単なる嫉妬、愛憎の物語なのか ?
社会矛盾、人種、家父長制が横たわっているはず。
私の持つDVDは、映画化された<オテロ>。
オテロがドミンゴ、デズデーモナがリッチャレッリ。
監督はゼッフィレッリ。
1986年製作のベスト・キャスティング。
戦後、文化のピークは世界も日本も1980年代では ?
太り過ぎのオテロ(将軍)役ボータ、最盛期をかなり
過ぎたデズデーモナ(若妻)役はフレミング。
歌えれば容姿、バランスは、二の次の感がある。
従って臨場感が伴わない。
METといえども常にBESTは難しいのだろう。
消化不良なので早速、Amazonに「オセロ」の単行本を
クリッリした。 (笑)
フレミングのしゃくりあげる歌唱には違和感を感じる
11月からいよいよ、MET Live Viewingのスタートである。
この企画は、メトロポリタン歌劇場のライブ録画を一か月弱で映画化し、全世界に配信するというハイテクを使用した、いかにもアメリカ人らしい大胆なものである。
全12作の内、第1作目はドニゼッティの<愛の妙薬>。
従来のドタバタ喜劇から、恋物語風にアレンジした演出。
昨年と同様、売れっ子ソプラノ、アンナ・ネトレプコの登場。
ふくよかさは相変わらず。
しかし声量は昨年よりも、より豊かになっている。
恋人役ネモリーノの歌う有名なアリア「人知れぬ涙」には、
私も涙が出てしまった。とてもうまい。
多分聴衆は耳をそばだてて聴いているのだろう。
自身の持つDVDでは、このアリアにアンコールシーンが
ある。
METのオペラは舞台にお金を掛けているだけあって、
臨場感があり、とても見応えのある出来栄えであった。
感動の余韻が残る昼下がりは、何も仕事をする気に
なれなかった。 (笑)
アディーナ役のロシアの歌姫、アンナ・ネトレプコ
快活な彼女はアメリカの舞台を楽しんでいるようだ。
広島県立美術館の特別展、"世界遺産ヴェネツィア展`に行ってみた。
8月に北ドイツのリューベックに行って以来、島とか中州にできた中世の国家、都市に興味が出てきた。
貿易で富を築き、外部とは独立性をもたせ、栄えていく。
島内の規律の確立。
水路、海が城壁代わりとなる。
文化・芸術も発展していく。
そしていつかは滅びていく。
ベルリンのホテルは丁度動物園の近くであった。
今晩7:00のフライトまで十分時間がある。
せっかくなので午後から、動物園に行った。
簡単な柵内に動物がいた。
ゾウ、シマウマ、キリン、サイ、カンガルー、etc 。
おとなしい動物ばかりである。
もちろんライオン、クマはおりの中であるが。 (笑)
ゾウには小さい子供がおり、人気の的であった。
動物のしぐさを見ているとほほえましく、時間の経つのを
忘れてしまう。
しかし、厳しい野生の中の生存競争が存在しない動物園
では、動物達はただジッとしているだけにも見えた。
死ぬまで生存競争の中に身を置くか、年金でジッと
生き長らえるか。。。。。
無事に帰り、しばらくは仕事に精を出そう。
母親は巨大ゆえ、子供に気配りができない。
しかし、親子には強い絆が感じられる。
とうとう念願のリューベック観光が実現できた。
旅行誌の表紙を飾るほどの美しい街である。
ハンブルグから特急で約30分、13~14世紀のハンザ同盟
が栄えたころに、その中心として最も繁栄を極めたのが
このリューベック。
周りの川、運河が城壁代わりになり、外敵を守った事を
うかがえる。
シンボルのホルステン門、自体の重みで傾いており、
何かユーモラスな趣で出迎えてくれた。
ホテルはそのすぐ前。ラッキーです。
どうして空室があったのだろう。
一番の興味はマリエン教会。
バッハがパイプオルガンに魅せられて通いつめたらしい。
とにかく教会もパイフオルガンも巨大である。
1941年の英軍の空襲で破壊され、戦後復元された。
メチャメチャにされた国土、民族、建物を地道に
元通りにしていく。
そこには時間軸、出費は問題ではない。
何が大切なのか、国も国民も一致しているのでは。
改めて日本の未成熟さを自戒してしまう。
1464~78年に建てられた市城門、ホルステン門。
壁の厚さは3.5mにも達するらしい。
ハンブルグのホテルは地下鉄の駅からすぐ近くで
助かった。
幸い、空港で三日間のハンブルグチケットを券売機で
買えることができた。
これがあれば市内の電車、地下鉄、バスは乗り放題。
美術館も割引が効く。
二日目の8/25、早速市内観光に出発した。
港町だからまず船を見たい。海から100kmもエルベ川を
上ったハンブルグは、港というより河口である。
倉庫街の一角に現在建設中の「エルベフィルハーモニー
ハンブルグ」を見た。
赤レンガの倉庫の外壁をそのまま残し、その上に
コンサートホールが出来上がる。
強烈に驚いた。何という発想なんだろう !!
日本なら倉庫を撤去してから建てるんだろうね。
次は市立美術館。ハンブルグ駅のすぐ近く。
世界的な名画は少なかったと思う。
ナポレオンの肖像画が印象に残った。
すべてを視透せる眼力。
国のトップに見せてあげたい。
ブラームス博物館、テレマン博物館にも行ってみた。
ブラームスの時代(1850年ごろ)は写真が出始める。
歴史に残る音楽家を写真で見るのは、何か違和感を
感じる。
確かにクララ夫人は才女で、美人である。
隣のテレマン博物館ものぞいてみた。
モーツアルト以前の、いわゆるバロック音楽が好きな私は
ブラームスより正直興味を持った。
館長は情熱を持って、丁寧に説明してくれた。
質問する私のことを 「音楽家ですか ? 」 と言ったのには、
ビックリと同時に、少々うれしかった。 (笑)
音響設備は日本人が設計したとか。
戦火で破壊されたベルリンと同様、
ハンブルグも魅力的な大都市に変貌している。
ハンブルグで膨大な数の作曲をしたテレマン。
愛用の小型のチェンバロ。